figure”Parakalein”発売に際してfigureこと長谷部さんにインタビューしました
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2018年9月12日にサウナクールからEP”Parakalein”をリリースした、
鳥取のfigureこと長谷部さんにスカイプでインタビューをしました。
曲作りや生活について詳しく聞くことができたので是非ご覧ください
—それではfigureというユニット名の由来について教えていただけますか?
あまり意味のない、引用元もよくわからないユニット名にしたかったので、
なんとなく無機質な図形とか数字みたいな意味を持つfigureに落ち着いたという感じです。
以前由来を聞かれた時 [Absolute Body ControlのFigures] から引用したとカッコつけた事言ってしまってすみませんでした。
—ユニット名には意味を持たせたくないということですが、
今回リリースするEPのタイトル”Parakalein”には由来があるとうかがいましたが?
これまで作ってきたEPには確かにほとんど意味のない単語の羅列ばかりでした。
また由来もない。しかし、今回は状況が違いました。
去年の10月ごろDaylightのデモができてから結構な数の曲をボツにしていて、
さらに仕事でも部署が変わり上司からのパワハラや人間関係に気を取られ仕事にならない、
また賃金も今では考えられないくらい低かったという状況が続いていました。
そんな中かなり精神的に追い込まれ、ギターを握る気にもなれず、
冬の間は仕事が終われば部屋のコタツで眠り続け、休みの間は本を読むという辛い時期が続いていました。
そんな中にあって無理にでもギターを弾いていたのですが、
その時にできたMaryのデモはまったく救いのないテイクでしたが、
この時読んでいたフィリップ・K・ディックの『聖なる侵入』の中で
「助けを呼ぶこと:パラカレイン」という一節が妙に頭の中に引っかかったのです。
Maryは誰も助けてくれないなら全員殺すしかないという気持ちで作りましたが、
この一節から神頼みをしようとサビの部分を大幅に変えました。
Maryという曲名なのですが、これはParakaleinでも良かったんじゃないかと思ってます。
質問の答えになっているでしょうか?
—つまり、Maryや今回のEPに自らの救済のような意味を込めたということでしょうか?
そういうことになります。神頼みが実ったのかこの曲を作った前後に状況が少しずつ好転しました。
部署が変わってこの会社のクソさを思い知ったというのもあり転職活動にも成功し今では安定した職についています。
まるで『聖なる侵入』の展開のようです。
—救済やセラピーの役割を、このEPは果たしていると。
そうなると、それぞれの曲のタイトルの由来も気になってきますが、
特に”Christmas Eve of 1992″(1992年のクリスマスイブ)が気になります。
これには何か由来があるのでしょうか?
Christmas〜については [ツイートもしました] が、
3月あたりに自分が1992年のクリスマスイブに生まれ変わったという内容の夢をみました。
しかしこれは夢にしては細部がリアルで夢のように感じなかったのです。
自宅の2階の窓から風景を眺めているだけの夢でした。とてもシュールでずっと印象に残っていたため曲にしました。
—それでは普段の生活について。ライブやDJイベントなどには行きますか?
何も予定のない休日は大体近所のファミレスで音楽を聴きながら本や漫画を読んでいます。
あと機材を物色しにハードオフなどのリサイクルショップにいることが多いですね。
去年まで島根県松江市で開催されていたFRENTE!!というイベントにお邪魔していました。
たまにインディー回と自分は読んでいるのですが…そういう時は欠かさず行っていたと思います。
—他県のイベントに足を運んでいたということは、
(現在も住まれている)鳥取県米子市にはそういったイベントはないのですか?
鳥取県全体や米子市の音楽カルチャーは実際どんな感じでしょうか?
まあでも米子市から松江市まで車で1時間あれば行けるので、
感覚的には大阪から京都に行くというのとさほど変わらないと思います。
とはいえ米子市のカルチャーは?と聞かれると僕はわからないという他ないです。
大学を卒業して地元に帰ってきてから少し前まで友人のつてで米子の良いショップや古着屋を紹介してもらったのですが、
次々と閉店してしまい途方に暮れて現在に至るといったところですね。
もはや僕は次世代に期待!と言った感じでしょうか。
—(笑) 次世代の人が出てきそうな兆候が地元にあるということですか?
そこのとこも全くわからないのでとにかくおじさんは期待しています
—それでは、地元を含めて地元以外でも音楽界隈で仲のいい人はいますか?
地元で仲良くしてくれるのは、近所の独身男性たちです。
地元以外は未だにC86JPNとその周辺の人たちとつるんでますね。
Slowmaricoの泉さん、Super VHSの入岡君とユマニテ君、It Happensの河合さん、
The Momentsの武君、Diane Hallsのjosh、Living Roomの斉藤君と
CPGというグループラインを作ってしょうもないやり取りをしたり、月一でスカイプしたりしています。
—米子市のカルチャーについてお聞きしましたが、
米子市の環境や気候が、figureの楽曲制作に影響を与えた部分はありますか?
これもわかりません。
ただ、これまで作ってきた曲を聴いてみると、どこか不穏な空気が漂っているので、もしかしたら影響があるのかもしれません。
というのも米子市は基本的に曇りの日が多く、それが人間性に影響を与えている部分があるのかなと思っています。
お前が根暗なだけだろと言われればそれまでですが。
あと環境面で言えば米子市は住宅地が増えているとはいえ、まだまだだだっ広い空き地のような所が残っていて、
セカイ系と呼ばれるアニメ作品や漫画、文学作品を読んでいるとものすごくその想像力にリンクしやすいです。
米子に住んでいてこういう所は利点だなと思っています。
—お話にも出てきた漫画やアニメ、文学作品にインスピレーションを受けているということもありますか?
というかあまり音楽を聴いて直接にこういう感じの曲が作りたい!みたいなことを実行してうまくいった試しがないので、
ある作品を観たり読んだりすることでこういう音楽が作りたいと思ってそこから自分の消化してきた音楽で
どれだけのものが作れるかみたいなところからスタートした方がうまくいきますね。
—今回のアルバムで一番影響を受けたのはやはり先述の『聖なる侵入』でしょうか?
はい、あとTrue Bosomのときは例によってファミレスでSiouxsie and the Banshees聴きながら
三島由紀夫の『金閣寺』読んで家帰って衝動的に作った曲です。もう3年前の話ですが…。
—普段はどういったときに曲を作りますか?作る場所や状況、こういう感情のとき、などはありますか?
作る場所は自分の部屋で作っています。住んで居る所は静かな住宅地で、まあ田舎なんですが、
外部からの刺激が全く無いわけではなく、それでいて自分のスペースがちゃんと確保できるという状況が最適です。
曲を作る時は怒りとか死とか大体あまりいい感情じゃないですね…。
多幸感で作った曲は大体頭に虫が湧いたような曲ができるので全部ボツにしてます。
—影響を受けた/昔から好き/最近よく聴いているバンドやアーティストを教えてください。
影響を受けたのはやっぱりシューゲイザーなんじゃないでしょうか。
00年代末期に聞いてたShocking PinksやDeerhunter,
また彼らが聞いていたであろう70年代80年代のパンクバンドChromeやSwell Maps。
あとIggy Popも学生の時は掘って聞いてました。
ニューゲイザーの影響がなかったらもうとっくに音楽作れなくて挫折してたと思います…。
昔から好きなのは子供の頃聞いてたMike Oldfieldとかのプログレ系でしょうか。
でも後でわかったんですが自分はプログレが好きというより
discogsで知ったEtherealというジャンルが大好きみたいです。
これは長くなるのでご興味のある方は調べてみてください…。
最近まで90年代のインディーロック、オルタナ、Jポップ、Jロック、
オールドスクールのヒップホップを聞いて勉強してましたが、ちょうどこのEPができる頃にぽっかりとなんだか疲れてしまって、
今は1日2回Arthur RussellのWorld of Echoを聴くようにする以外特に情熱を持って音楽聞いてないんじゃないかな…。
—それでは最後に、figureとしての今後の活動について教えてください。
できればもっとテンポが遅い曲が作りたいと最初は思ったんですが、
テンポは今まで通り速くてもより本質的な曲が作りたいです。
せっかく機材環境を整える機会ができたので、もっと音を作りこんで一つ一つの音を際立たせたいというか。
最近はいつもそう思ってます。
figure “Parakalein”
1. Algae
2. Daylight
3. Jasper
4. True Bosom
5. Mary
6. Christmas Eve of 1992
Sauna Cool / SC7
¥1,000+tax
(ダウンロードコード付き)
Apple Music,Spotifyのほか、 [レーベルのbandcamp] でも全曲視聴可能
取り扱い店舗など詳しい情報は [コチラ]
- sauna cool staff
- 2018.09.20